社員対談
「社会から誉められてこそ価値が生まれる」
“評判づくり”というピーアールコンビナート
ならではの流儀とは?
代表取締役
蜷川 昭文
AKIFUMI NINAGAWA
PR本部 コミュニケーション・プロデューサー
大木 将里
SHORI OKI
私たちピーアールコンビナートの根幹にある「評判づくりの仕掛人®」であれ、という想い。これは創業時から続く当社のDNAであります。メンバーは、この想いをどう受け継ぎ、どう進化させているのか――創業者・橋爪清の信念を引き継ぐ代表取締役の蜷川昭文と、2014年に新卒で入社し「評判づくり」について考え抜いてきた大木将里が語ります。
「パブリシティ一辺倒のPRに未来はない」
1976年の創業時から時代を先取りしてきた、企業の評判づくりへの思い。
蜷川 昭文(以下、蜷川):まずは私から、ピーアールコンビナートの出発点をお伝えしたいと思います。話を1976年の創業時に遡りましょう。
今から45年以上前の日本のPRは、まだ広告に付随する施策のひとつという位置づけ。ともすれば、メディアで紹介されさえすればいい、という「パブリシティ作業」の時代だったように思います。ピーアールコンビナート創業者の橋爪清は、そんな業界の状況に「このまま、メディア露出を獲得するだけの案件を続けていても、PRの未来はない」という考えを持っていました。
橋爪の口癖は「社会から誉められてこそ価値が生まれる」。社会から信頼され期待される企業になるため、本質的なコミュニケーションとは何か?を突き詰めていく。これこそがPRの本来の使命であると考えていました。それを実現するために、ピーアールコンビナートを創業したのです。
「評判づくりの仕掛人®」というスローガンは、創業25周年の際に定めたものです。2010年前後には、企業のレピュテーション(社会からの評判)という言葉をよく耳にするようになり、各PR会社も意識するようになってきました。しかしピーアールコンビナートはそもそも創業時から、「評判づくり」を仕掛けていくPR会社としてスタート。この想いがDNAとして、今に至るまで受け継がれています。
社会のためになることは何か?それがクライアントの価値をどう高めるのか?
とことん考え抜く姿勢を先輩から受け継いでいく
蜷川: 2000年に新卒で入社して、3年経つ頃にはビッグクライアントの責任者に。それもあり若い時から橋爪の直下で仕事をする機会に恵まれ?!、企画書を出せば「この企画の本質的価値はどこにあるの?これじゃ浅い、もっと考えろ」と問われ続け、それはもう鍛えられました。ここで考え抜きやり抜いた経験こそが、私の力になったことは間違いありません。
大木 将里(以下、大木):私は学生時代、パブリシティ獲得を主な業務とする別のPR会社でインターンをしていました。自分が取り組んだ企画が記事になれば単純に嬉しいですし、それはそれで楽しいと思って取り組んでいました。
でもピーアールコンビナートに入ってみたら、社内でしている議論は全然違っていました。メディアにどう紹介してもらうか、という手法の話ももちろんありますが、「社会のため、世の中のためになるのはどんなことか?」「それがクライアントの価値をどう上げるのか?」という議論の時間のほうがずっと長いんです。
「なるほど、私がこれまで議論していたことは、全体が100あるうちの1くらいのものだったんだな」と。この発見は、自分にとってとても興味深く、刺激になりました。
先輩たちは当たり前のように「評判づくり」を軸にものごとを考えていました。それが本来のPRのありかただということは、経験のない私にも直感的にすんなり理解できましたし、同じ視点で業務に取り組むことで自分の中にも「評判づくり」を軸とした考え方が身についてきました。
「評判づくり」の肝とは、クライアントの課題と社会の課題の接点を見抜くこと。
感動を共有することで人が動き、価値が生まれる。
蜷川:「評判づくり」を軸に考えるとはどういうことか、もう少し紐解くと、私は「クライアントの課題を社会視点、市民視点で見たときに、どこに本質的価値があるのかを見抜く」ことだと考えています。
もちろん私たちの活動は、クライアントの課題解決がスタート地点ではあります。しかし、だからといってクライアントの利益だけ考え抜いても、クライアントが求めている答えしか出せないんです。
私たちはそこを超えていかなければならない。クライアントの課題と社会や生活者の課題の接点を見いだし、公益的価値を創出して、世の中に貢献できるコミュニケーションを実行することが求められます。
大木:PRはクライアントの商品やサービスの良さを打ち出してほしいというオーダーに応えるもの、というイメージがまだまだ強いと思います。でもそれが世の中にとってどういう価値があるのか、つまり「大義」はどこにあるのかを考え抜くことが大切だと考えており、「大義をもって人を動かす」ことを常に意識しています。
「人を動かす」をさらに分解すると、二つの方向があると思います。ひとつは「買ってくれる」「気持ちが動く」「共感する」といった、生活者の行動が変化するという意味での動き。もうひとつは、「こちらが掲げた大義に対して共感をおぼえ、ともに自分も行動する側に回る」という意味での動きです。その両方を実現できるような提案をするのが、私の「評判づくり」を仕掛けるうえでの肝となります。
過去に実施したアルコール除菌剤の案件では、医師や自治体と協働して、冬季のインフルエンザ予防の注意喚起としてアルコール除菌剤の有用性を啓発しました。製品の良さを伝えたい、製品名や企業名を出したいといったクライアントの都合ではなく、「生活者の健康を守りたい」という思いを一緒に発信しましょうという思いに賛同してくださった方とともに、生活者の健康に寄与する活動ができました。
蜷川:リアルに感動を共有できるかどうかは、「人を動かす」うえで忘れてはいけないポイントですね。
以前取り組んだガムのPRでは、「噛む力のコンテスト」を企画して好評を得ました。「噛むことによる健康づくり」をPRテーマにおいた活動でしたが、たとえば歯科医師が噛む力を測定してアドバイスするだけでは、意味はありますがそこに共感は生まれにくい。そこで「噛む力」を競い合うコンテストにしました。「噛む力1位」として表彰されると、大人も子どもも本当に喜んでくれるんです。こういう「感動ポイント」をつくることで、共感の輪が広がっていくんですね。
大木:生活者が持っている、でも明確には意識していないかもしれない欲求を見つけ出して、それをきちんと解決できるものを提供することも大切だと思います。
欲求もそうですし、世の中を見渡しながら、人が困っていること、ちょっと不便だと思っていることがどんなことなのか、物事を深く洞察しているところもありますね。いわば「名もないモヤモヤ」「名もない嬉しさ」は、感動を共有する接点になる。顕在化されていないキワのところを探るのが、共感されるコミュニケーションのためのインプットになっています。
本来のパブリックリレーションズの真価を、さらに体現していくことが課題。
PRパーソン自身が社会課題を起点に、人をつなぎ事業を創出していく未来へ。
蜷川:企業活動における社会価値創造の重要性については言うまでもありませんが、当社の「評判づくり」を軸にした考え方がコミュニケーションに携わるすべての人の当たり前になれば、世の中はもっと良くなっていくのではないかと考えています。
正直なところ、今の日本で「PR」という言葉は正しく理解されていないのが現状です。社会課題を解決したうえで経済的価値を生み、企業価値も高める。そんな社会から信頼され共感されるコミュニケーション環境を持続的に提供していくことこそ、本来の意味でのPR、パブリックリレーションズの真価であり、私たち自身が体現していかねばなりません。
大木:PRそのものの評判づくりも、自分たちでやっていかないといけないですよね。
蜷川:その通りです。PR会社のブレイクスルーが今まさに求められているのです。
大木:未来像を描くとするならば、クライアントから依頼を受けて案件に取り組むエージェンシーとしての活動からさらに一歩進み、われわれPRパーソン自身が、社会課題を起点に事業開発することも必要なのではないでしょうか。
企業や有識者、生活者をつなぐ役割をしてきた私たちPRパーソンだからこそ果たせる役割だと思います。社会課題といっても小さなことからでよくて、みんなを巻き込んで解決して、ビジネスとしてもマネタイズできるような仕組みをつくっていく――これまでは、クライアントの評判を高めながら世の中を良くする活動をしていましたが、同じ志をもった仲間とともに、世の中を変えていきたいという思いを持つようになりました。
蜷川:ピーアールコンビナートの「コンビナート」は、「つながり」を意味します。会社のロゴマークは球体と球体が連結したモチーフになっていますが、これも「360度の視点をもって人とつながる」意味が込められているんです。
あらゆる角度からの視点をもって人と人とのつながりを構築し、より大きな仕事をして、世の中に対してインパクトを生み出していく。大木が言う仲間づくりの発想も、やっぱりピーアールコンビナートらしさを発揮していく、これからのかたちのひとつです。
共感者を創り、育て、拡げて、そしてつなげる――これからも、「評判づくりの仕掛人®」らしいアイデアで生活者のより良い暮らしや社会の発展に貢献したいと思います。